東アジアに戦火再び

平和とは戦間期の別名に過ぎない。常に備えよ日本!

中共バブルの行方

中共経済が過熱しています。
新聞や雑誌には景気のよい中国経済関連情報が満載ですね。

1月5日のYAHOO!NEWSにも、羨ましい記事が掲載されていました。
概略次の通りです。

中国豪邸ラッシュ “貧富の格差”拡大象徴
中国では資産総額百万ドルi日本円約一億四百万円)を超える裕福層が三十万人を超えた。北京、上海、広東省などで高級住宅フ需要はこれからも拡大する見通しで、最高価格は六十億円にも上る。豪邸建設は、2006年までに北京だけでも五百万元以上の住宅が五千戸から七千戸建設されるという。

 

築20年の中古住宅を30年ローンを組んでやっとの思いで購入した私の住宅事情とはえらい違いですね(^^;)。

国内で私たちが得る中共情報は、ほとんどがイケイケムードのヒートアップ状態ですが、一方で“中共バブルはいつ崩壊するか?”という論評も雑誌などを中心に賑やかになってまいりました。

今振り返れば、米国のITバブルの時もそうでしたが、全盛時はその勢いが永遠に続くかのような錯覚を覚えるものです。
中共の経済発展は引き続き継続され、近い将来米国を抜いて世界一の規模になるに違いないという予測さえ出始めています。

中共経済は近い将来において、本当に世界のトップに躍り出るのでしょうか?
私もここ一年ほど夜も寝ないで昼寝しながら、中共経済や世界のバブルを検証して参りましたが、その結果ついにひとつの重大な法則を発見したのです(^o^)。
経済専門家でさえも思いつかなかった画期的な法則をですよ。


 その法則とは『過去のすべてのバブルは崩壊した』というものです。
世界でこの法則を最初に発見したのは私ということになりますか~。(笑)


中共の現在の固定相場制(現在1ドル約8.3元)はアンフェアで許し難いものであるし、デフレを世界に向け垂れ流しているという批判がますます強くなっています。
中共政権内に人民元の切り上げという変動相場制への移行に大きな対立があると言われており、政権内の利権争いに目を奪われ、舵取りを誤ればホソフトランディングどころか、ただちにバブル崩壊という憂き目にあってしまうおそれがありますね。

人民元の切り上げや、ドル相場の崩壊、その他世界規模での経済的激変がなければ、2008年の北京オリンピック、または2010年の上海万国博覧会までは持つのではという意見も多いですが、米国ドルの信用失墜と凋落のカウントダウンも始まったと予想される中、そんなに長い期間世界が平和でいられるなんて信じられませんね(笑)。

中共政権内では、もちろんソフトランディングへの模索が行われているようです。
中共の官僚が頻繁に日本の経済担当部署を訪れ、ソフトランディングに向け指南を仰ぎ、経済運営を研究しているという話は耳にしますので、もしも“間違って”中共バブルをソフトランディングさせたとなれば、これは間違いなく世界初の画期的出来事ですから、世界を驚嘆させる事になるでしょう。

しかしながら、中共経済をここまでヒートアップさせてしまい、制御不能レベルまで増長させてしまったのは、ほかならぬ中共支配階層の一部の人たちが、自身の懐を豊かにすることばかりに目を奪われて、経済改革のみを先行させ同時進行させねばならなかった政治改革を、手つかずのまま放置してきた歴代指導者の無策と怠慢が、よりその歪みを増長させている事は間違いありません。

そして、残念なことに札束の乱舞に浮かれきった中共指導部には、中共バブルをいつまで存続させるか、或いはいつ崩壊させるかの決定権は、中共には無く米国であるという事をほとんど認識していない。


1月25日読売新聞朝刊で『広東省5万人暴動はなぜ起きた?』というタイトルで、昨年末12月25日中共で発生した大規模な暴動発生についての記事を目にしました。

読売新聞記事は長文なので詳細は割愛しますが、事件の中で『民工』という言葉が目を引きました。
中共では出稼ぎ労働者を民工と呼ぶらしいですが、なにやら差別的なにおいを感じます。

北京や上海など大都市や、中共各地の都市の繁栄を底辺で支えているのが民工であり、その多くが内陸部に住む農村出身であるといわれています。
彼らは月給800元(約1怩S00円)程度の低賃金で働かされ、残業も含めて12時間労働などというひどい労働環境で働いているという。
そして多くは、いつ首を切られるかもわからない不安定な雇用であり、社会保障制度も適用されない弱い立場だ。
中共国内の民工総数は一億五千万人程度とされ、日本の総人口をているが、給料が出るだけでもまだ幸せなのかもしれません。
推計によれば、現在の都市失業者や農村の生活困窮者は二億人前後に上るといいますから。

中共国内を旅行すれば、失業者や一時帰休の労働者が町にあふれているのを目にすることになるし、子供の物乞いもいたるところで目にするといいます。
私自身はまだ中共に旅行した事がないので雑誌報道などにそう書いてあるという話ですが……。


また、2月8日読売新聞朝刊では『失地農民の悲劇』というタイトルで次のような記事が書かれていました。 

失地農民の悲劇
中国のルポルタージュ文学の月刊誌「報告文学」は、水力発電所建設のにために、開発業者と結託した地元当局に耕地を奪われた悲惨な実態を告発するルポ「土地を失った人々」を掲載した。主人公は全国四千万人以上とされる「失地農民」の一部にすぎないが、彼らを襲った事件は“土地戦争”の深刻さを物語っている。
2003年4月22日朝8時。県の国土局や水利局などの役人、派出所警官ら約20人がやってきて突然耕地の測量を始めた。驚いて「うちの土地で何してるの」と詰め寄る村女性に、役人は「おまえの土地だと?お前も土地も国のものだ。水力発電所を作るので収用されたんだよ」と笑う。
「公務を妨害するならおまえを捕まえてやる」とののしるや否や4、5人の警官が取り囲み、いきなり女性に手錠をかけた。
その後、村民200人と役人らとの間で激しい衝突が発生。包囲された…。


中共国内での行政当局と一般市民との衝突の事例を二点ほど紹介させていただきました。いずれにしても、成長著しい中共の経済発展から取り残された民工や失業者、そして失地農民などなどの豊かさから見放された貧困層は、行政当局や政府に対し不満を募らせています。
2004年で50人以上が参加した暴動やストライキは50万件を越えたというのですから驚きです。
中共で“お上”に楯突くとどのような末路になるか(特に動乱分子のリーダーは)…。
市民自身がそれをよく知っている上でのこの数字には驚きを隠せませんね。

見上げるような高層ビルが林立する上海などの、眩しいほどのイルミネーションが燦然と降り注ぐ繁栄の背後で、病根ともいえる汚職腐敗の横行、“鉄の茶碗”と呼ばれる毛沢東が唱えた社会計画理念の産物である国有企業の改革の放置による破綻、富めるもののみが益々富むという拡大するばかりの貧富の格差、毛沢東時代からの密告制度という悪弊の継続による人心の荒廃、市民の社会的モラルの喪失、宗法組織の復興と更なる活性化、疎外された流民などから生まれる黒社会の勢力拡張と行政当局との結託、一般市民への麻薬汚染の急拡大、不当な少数民族への抑圧と支配強化などなど…。

体内に巣くう悪性の“ガン”が確実に巨竜中共の体内を蝕みはじめている。
職を求めて彷徨する“疎外された民衆”は、今は黙々と内なる憤りを募らせているだけだが、近い将来において衝動的な抗議活動が“民衆の蜂起”という起爆剤への点火につながる可能性が大きいと思えてなりません。
その時こそ、その憤激のうねりは一気に全国規模へと伝播し、もう誰にも止められない内なる反乱の本流となり、破壊的に巨竜の生命を奪いにいくに違いない。

近年すさまじいスピードで桁違いの富を蓄積したにわか成金は、国有資産や資源配分を支配・管理するごく一部の“権力を持つ”人たちと、それに連なる人間関係のネットワークに絡む人たちが多いのは疑いようのない事実です。

共産党のみが支配する中共においては、国家を管理運営する官僚の公権力は絶対です。
中共政府の役人は法律の上にあるといっても過言ではなく、支配の及ぶ対象はほとんど全てと言っていい。
表面上対外開放が為されたとはいえ、中共社会はいまだ人治の法制社会のただ中にあると断言できるでしょう。
確かに法律は順次追加制定・施行されてはいますが、問題は守る意志があるかどうかだ……。

真の市場化とは法制に基づいた経済活動であり、信用付与による経済取引を意味する。
中共では法制も信用もまるでないという現実を改めて指摘しなければならないでしょう。
例えば、政府と中共共産党の権威を守るため、日常的にあらゆる統計データは都合のいいように捏造され、改ざんされている。

信じがたい話ですが、国有企業の98パーセントが財務情報の一部あるいは全部を偽っているというデータもあります。
政府は諸外国に対してはもちろんの事、自国民をも平然とだましていることになりますが、統計データなどの捏造は毛沢東時代から続いており一党独裁体制ゆえの病根は深い。

今も続く、中共の二十年以上に及ぶ経済改革の流れを最も的確に表現する言葉は『権力の市場化』であり、またそれは『国有資産の奪い合い』という言葉が相応しい“略奪行為”と置き換えることができるでしょう。
そのいびつで偏重した改革開放政策の結果、許認可など強大な権力を持つ者などが富を独占し、中共社会の実に80パーセント以上もの富を、ごく一部の支配階層が手中に収めてしまったのです。

金に置き換えることのできる権力や職務上の地位と血縁やコネを持つ者は益々豊かになり、一方で“金づる”を持たない一般市民や農民などが、経済改革のスタート地点からあまりにも不平等な形での富の奪い合いという大競争時代が幕を開けたのです。

事実上すでに、富を共有し分け合うという共産主義体制は崩壊しており、権威主義体制だけが残った。
かつて中共共産党を支えた愛国心は、改革開放により解き放たれた私欲にとって代わった。
拝金主義にまみれた、この欲深い権威や権力を手中に収めているものの為す汚職・腐敗の深刻化とともに、貧富の格差は拡大する一方であり、一時帰休労働者(実質的失業者)や失業者、失地農民は困窮するばかりで、将来に対する不安と憤りは増すばかりです。

驚くことに、労働者の楽園であるはずの共産主義国家でありながら、労働組合など労働者の苦情を吸い上げるシステムが存在しないので、膨大な人口を抱える中共社会では、一度失業してしまうと再就職はかなりの困難が伴う。
彼らは同じ就業体制には戻れないし、勃興する新産業へ対応するノウハウも技術も持たない。
このような再就職不能の国民は全国で千万人単位になるとみられます。
社会保障制度が無きに等しい中共では、これは深刻な社会問題に発展する恐れを内包しています。

莫大な富を手に入れた権力やコネを持つ一部の支配階層は、改革開放から20年以上の歳月を経て“収入源”を次の世代へと独占的に継承させていく。
一方で仕事が持てず自立の道を絶たれて自暴自棄に陥る数え切れない流民などの鬱積と苛立ち。
こうした自活する手段を将来的にも絶たれた多くの国民の抱く不満は、やがて地下経済の活性化という流れに飲み込まれ、非人間的な反逆心を伴い黒社会へと身を投じていく。

歴代王朝が民衆統治の主軸としてきた“民衆を貧しく何も持たせない状態にしておく”という伝統的な古い手は、インターネットなどの世界的規模の情報交流が可能な現在では使えない。
中共共産党の宗教弾圧にみられるように、警察国家的抑圧は一時的には成功を収めたかに見えるが、活動を地下に深沈させるだけであり、いずれより強い反発を生むだけで、難題の解決を先送りしただけにすぎない。
ひとつハッキリしているのは、この手の難題は先送りすればするほど解決に手間取るということだ。

話は少し逸れるが、中共では毛沢東の肖像がすべての紙幣に印刷されている。
毛沢東といえば、あのおぞましい“恐怖の文化大革命”を引き起こした張本人だ。
文化大革命とは“自国民によるホロコースト”ともよべるほどの残忍な殺戮が行われ、死者一千万人被害者一億人といわれる被害をもたらすなど、中共国内に大混乱を引き起こした。
当時を生き延びた民衆にあっては、今でも修復しがたいほどのトラウマを引きずっている。

また、毛沢東は異常なまでに権力欲が強かったことが知られているが、“権威と恐怖”を民衆統治の基盤としたために、平時においても大規模な粛正を行っていたことなどにより、結果として一億人近くの民衆を殺害したという。

一方、中共共産党が秘匿に徹しているため、文化大革命ほど知られていないが、毛沢東による『大躍進政策』も、中共民衆に多大な苦難と甚大な被害をもたらした。
大躍進という失政による餓死者は四年間で三千八百万人を越えた。末期には人々は食べるものを求め、埋めた人間の死体を掘り起こして食べたという。
中国共産党は、現在までこのような事実を認めようともしない。
これらの真実は、『ワイルド・スワン(上下巻)』(著者ユン・チアン/講談社)に詳しく書かれている。
長大な文章だが、夏の夜背筋を寒くしてみたい方にはお勧めの一冊だ(^^;)。